認定スクラムマスタ―研修@大阪(2017年5月)に行ってきた

ざっくりまとめると、研修生がチームで講師(江端一将氏)がスクラムマスターというスクラムチームによる3日間の活動だったんだと思う。3日間の明確な目標(やること)をスクラムマスターから提示されることはなく、我々は《自律的なチーム》になることを促され自分達で考え決断して目標に向かっていく。

チームが目標から遠ざかろうとするとスクラムマスターは《質問》によってバウンダリーを明確にしチームの決断を手助けしてくれる。また、三本柱(3Keys)と15のルールの表(マトリクス)を埋める必要はないですか?と《質問》しチームの現状把握を促す。

江端氏は、時として厳しい表情で《質問》攻めし(責めではなく攻めであることが重要)、そうかと思えば満面の笑みで冗談を言う。わからないことははっきりと「わからない」と言うところは謙虚さそのもので、まさにスクラムマスターとしての活動を研修生に見せて(魅せて)くれていたのだなと感じた。

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他に印象に残ったこと。

江端氏「それは不安だからじゃないですか?」というのをよく聞いた。人の特性で個人的な不安を根拠に活動しがちだけどそれって本質じゃないよね?って突っ込まれていた気がする。もっと掘り下げたかったけどみんなに遠慮して割愛。

研修内容そのものが常に変化する。一般的にはカリキュラムがあったりして毎回同じことを学ぶものなのだけれど、この研修では普段のプロジェクトと同じように何が起こるかわからない。スクラムのチームは自ら決断を積み重ねるのでそれをそのまま再現し、扱うトピックは研修生自らが都度決断する。

「最低限を積み重ねる」何をもって《完了》とするのか?というのがいかんせん曖昧でありなかなか共通認識とならないもので、それを痛感させられるところからこの研修は始まる。最低限を積み重ねることができるかできないかで費やす無駄な時間はかなり異なる。誰しもがこの時間って無駄じゃない?って思っているにも関わらずその無駄な時間を費やしてしまうのだ(みんな勉強してきているはずだからわかってて江端氏の煽りに乗っかってただけだとは思う)。戦略的にモアベターもありだけどそれは投資となる。投資対効果(ROI)を最大化するのはプロダクトオーナーの役割。

スクラムマスターはプロダクトオーナーやチームと同じ考え方をしていたらダメ。人の特性を理解してアプローチできないとダメ。スクラムのルールは性悪説に則っているが、スクラムマスターだけが性善説に則って活動する。謙虚さが必要。バウンダリーを明確にする責任がある。スクラムチームが最大限に豊かに活動できることを支援しなければならない。「わからないけどいて欲しい人」になるのが究極。スクラムマスターはガイド、まさに今決断しようとしているチームのバウンダリー(やってはいけないこと)を明確にしてなるべく最短で目標に到達させる。

江端氏「わからないです」スクラムマスターには謙虚さが必要。なぜならば現状を正確に把握する必要があるから。僕は江端氏の《質問》に対して「わからない」と一回も答えることができなかった。わかっていなかったのに。わからないと正確に言えばすんなりと次に移れたのに。わからないという現状を把握することが大切なのに。

「チームに期待してはいけない」自律したチームの方が比較的良い活動/良い成果になるのでチームの自律を促すのがスクラムマスターの責任。チームに期待すると自分の考えを押し付けてしまい自律を阻害してしまう。スクラムマスターは3ヶ月で自律的なチームを作れないと無能。自律的なチームは維持するのも大変。個人的に自律的なチームが出来たら役目は終わりで次のチームへ移りたいと考えていたので浅はかだったなと反省。

江端氏「今ので回答になっていますか?」研修生からの質問に答える場合は必ず「今ので回答になっていますか?」と検証を行われていた。かなり徹底されていてしつこいなと思うこともあったけど、とても大切なことでそれをどんな些細な質問に対しても行う姿にしびれた。かくあらねばならない。真似します。

今の組織は大量生産時代のもの。今はマーケットディスカバリー時代。スクラム関係なく大量生産時代を引きずっていてうまくいってないよねってみんな思っていると思うけど、「マーケットディスカバリー時代」というのは初耳。モノが少ない時代は量を作れば売れていたわけだけど、今は量を作ってもすべて売れるとは限らない。質と量の良いバランスが必要。その為にチームがマーケットに寄り添う必要がある。マーケット中心型組織にしなければならない。

僕きっかけでマルチタスキングゲームをやることになった。ただ、江端氏からの「マルチタスキングゲームやってみますか?」という《質問》に「いや、いいです」と答えてしまったのは失敗。僕自身マルチタスク良くないって認識してたのでそこまではいいやと思ってしまった。研修としては「やります」というのが自然な流れだったはず。それをくみ取ることができなかった、、、。他の人が「やりたいです」と言ってくれて助かった。てか、あの流れだと無理矢理にでもやることになったはずw

「スプリント=駆け抜ける」「スクラム=立ち止まる」このイメージはこれまでいくつか本を読んできてもなかったもの。これが理解できただけでもこの研修に参加した意味があると思う。

江端氏「ユーザーストーリーはアンチパターン」ただただショック、、、。社内の勉強会でユーザーストーリー取り上げたばかりなのに、、、。他、プロダクトオーナーは顧客から出すべきでないとか XP とスクラムは仲が悪いとかアジャイルは2009年に崩壊したとかドメイン駆動設計も受け入れてもらえなくて、アジャイラーとしてはただただショック。スクラムの文脈だと僕が正しいと思ってやっている活動は望ましいものではないのかもしれない。

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印象的なものだけでこれだけあるけどさらにテクニカルな部分もいろいろあった。それは書籍とか他の人のブログとかにもあるのでここではわざわざ取り上げない。頂いたノートに書いメモは僕の宝物。

あと、参加者のみなさんがさすがにちゃんとスクラムを勉強してきていらっしゃって付箋を当たり前のように使っていたりファシリテーションできたりしていて人前で話すの苦手とか面倒くさいことはやりたくないみたいな人はおらず良い意味で意識高いなぁと感心。

本当に濃い三日間だった。情報量多過ぎ。で、みんな良い人ばかり。超楽しかった。落ちない限りは同じ研修を受けることはないだろうけど、江端さんの他の研修もぜひ受けたいなと。次はプロダクトオーナー研修かな?

かわのくんとは

Web系IT企業でプログラミングやマネジメントをしています。趣味で音楽を少々。

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